契約前なら匿名でもOK
探偵事務所のホームページを見ると、下記のような書き込みを見たことがあるかと思います。
「匿名OK!お気軽にご相談ください!」
「いつでも無料で相談員が対応いたします!」
「ご相談は匿名でも問題ありません!」
このように誰でも相談できるような書き込みがあります。
「匿名でもいいですよ」と言っている探偵事務所も多いです。
しかしこれはあくまでも、「相談を乗る」ということが前提。
「調査しますよ」とは言っていません。
例えば下記のような会話までは匿名で対応してくれます。
相談員「どういったお悩みでしょうか?」
依頼者「ひょっとしたら、夫が浮気しているかもしれないんです・・・」
相談員「どういったことから浮気の兆候を感じとりましたか?」
依頼者「最近帰りが遅くて、連絡が取れない時間帯とかもあるんです」
相談員「それは仕事ではなく、プライベートという可能性が高いのでしょうか?」
依頼者「元々残業はほとんどない会社なのに、急に連日『残業がある』とか言いだして怪しいです。しかもそれが給料に反映されていません。どこかで遊んでいるような気がします」
相談員「それでは、さらに詳しいお話伺えますでしょうか?」
こういった相談までは匿名で可能です。
調査の前段階のことなので、状況説明をする上で実名を名乗る必要はありません。
探偵事務所によっては1時間や2時間など、時間をかけてじっくりと話を聞いてくれるところもあります。
契約の際は匿名不可
そして話し合いが進み、本格的に調査に乗り出すということになったら、書面上の契約が必要になります。
これは探偵業法にも記載されているので、それ以上の相談は匿名では不可能です。
また、探偵業法には下記のような記載もあります。
・人の平穏を害する、個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない
・個人の権利利益を侵害することには刑事上の違法な行為のほか、民法上の不法行為に該当する行為
探偵事務所は相手の住所や年齢、氏名などを調べることはよくあります。
これは探偵業法で合法と認められているのですが、「その調査対象者の権利や利益等を侵害するような調べ方はNGですよ」と探偵業法に記載されています。
ただ、何をもって権利侵害とするのか、判断が難しいです。
そこで探偵事務所は依頼者のことをしっかりと見極める適性検査を実は行っています。
無料相談もその一環です。
じっくり話し合いをすれば、その人が本当に困っているのか、あるいは何か悪い企みを持っているのか想像つきます。
「最後まで匿名でお願いしたい」という人ほど、何か悪い企みを持っている可能性が高いと容易に想像つきます。
つまり、「匿名を希望する人=相手を侵害する可能性が高い人物」と探偵事務所は判断します。
探偵業法には具体的に、「依頼者は匿名ではダメですよ」などと書いてあるわけではないのですが、総合的な判断材料として匿名で依頼するような人物には教えてはいけないという解釈があるのです。
匿名での調査依頼はもちろん不可能ですし、調査対象者との関係性や、調べる事が必要になる正統性がないと探偵を拒否する探偵事務所がほとんどです。
ずさんな探偵事務所があるのも事実
世の中にはたくさんの探偵事務所がありますが、探偵業法上、必要になっている届出をせずに探偵を行っている業者も中にはあります。
もちろん違法です。
過去には、こんな例があります。
2012年に起きた逗子のストーカー殺人。
元交際相手の女性に対し、執拗にストーカー行為を行い、最終的には殺害してしまったという事件です。
そのストーカー事件では、探偵事務所が関与していました。
加害者が探偵事務所に元交際相手の結婚後の名前や住所を調べて欲しいと依頼したもの。
そしてその探偵事務所は自社で調査を行わず、他の探偵業者に丸投げする形で仕事を請け負っていました。
そしてその仕事を依頼された調査会社は被害女性の夫と偽り、市役所に個人情報を求め、入手したという方法が明らかに!
これはひどいですね。
探偵事務所が丸投げしているのもひどいですし、調査会社の調べ方も嘘偽りに満ちた悪質な行為です。
当然のことながら、この調査会社の代表者は逮捕されました。
今でもこういった悪質な探偵事務所があれば、匿名で請け負う可能性もあります。
まとめ
以上、浮気調査は匿名でできるのかご紹介しました。
「ちょっと相談したいんだけど」という程度でしたら匿名で可能ですが、実際にお金を払って依頼するとなると、匿名では無理と考えておきましょう。
仮に、実名を探偵事務所に伝えたとしても、調査対象者にあなたのことを言うわけではないので安心してください。