婚姻期間も重要な要素
不倫がきっかけで慰謝料を請求する場合は、精神的苦痛が主な理由です。
例えば、「女好きの夫が結婚1年目で不倫した」ということなら、まだそこまで慰謝料は高額になることはありません。
心の傷が浅いとはいえませんが、結婚1年未満ならまだまだ妻の人生も修復できる期間で、子供もいなければ、生活面で苦労することもないでしょう。
婚姻期間が1年未満の場合、慰謝料は低額になりやすいです。
ここでは、千葉県の弁護士会が算出した、「不貞による離婚の慰謝料を婚姻期間で算出した基準表」を紹介します。
【婚姻期間】
1年未満:100万円から300万円
1年から3年:200万円から500万円
3年から10年:300万円から700万円
10年から20年:400万円から900万円
20年以上:500万円から1000万円
婚姻期間別の慰謝料は上記のようになっています。
ただし、例えば結婚20年以上経過しているからといって、必ず500万円以上の慰謝料が支払われるというデータではないです。
これは司法統計となっているので、民事裁判や刑事裁判などの処理状況を表した統計書です。
つまり当事者間で解決したものは対象外となっているので、実際はもうちょっと低い額になっていることも考えられます。
不貞行為の悪質性も判断基準に!
例えば、慰謝料の基準表を見ると、結婚1年未満は慰謝料が100万円から300万円と示されていますが、細かく見ると責任軽度100万円、責任中度200万円、責任重度300万円と記載されています。
不倫した時に悪質性が高いと判断されれば、300万円の支払いになるケースもあるということです。
このように「明らかに不倫している」、「妻への肉体的、精神的ダメージを与えていた」、ということが発覚すれば責任重度の対象になります。
不倫は相手があってこそという意見も聞かれますが、明らかに夫(または妻)から不倫を持ちかけていたという事実が判明すれば、それも責任重度の対象になります。
例えば、夫の年齢が40歳で、不倫相手が19歳という場合は夫の責任が問われます。
他にも「メールで積極的に誘っていた」、「車で主導しラブホテルに連れて行った」、などの事実があれば、夫に対する慰謝料も高くなります。
このように婚姻期間問わず、不貞行為の悪質性も金額を左右するため、結婚期間が1年未満の人と、結婚期間が10年の人で同じ慰謝料になるということも考えられるわけです。
不倫した際の家庭環境もポイントに!
例えば、夫が不倫した時に子供の年齢が1歳だったとしましょう。
当然子供は自立していませんし、妻も仕事に出かけられないなど生活に影響が出ています。
その間、妻は社会的経験(仕事でのスキルアップなど)ができないわけですから、妻の人生にも影響を与えています。(妻は自分の人生を子供に費やしている時間)
その期間をサポートせず不倫していると、妻の人生にも多大な負担をかけたということになりますから、慰謝料も高くなる傾向があります。
そして子供が幼い時だけでなく、中高生など多感な時に不倫をした場合も慰謝料に影響があるとされています。
それ以外では、夫が子供を虐待し、さらに不倫もしていたというときは慰謝料が高額になります。
家庭を崩壊させた理由は夫が100%、と言える状況ですからね。
しかし、逆に妻が夫のサポートをしていなかったり、悪意ある対応をしていると慰謝料を請求しにくくなります。
妻が慰謝料を請求しにくいケース
・子育ても全くせず夫に頼ってばかり
・生活費は夫が工面しているにもかかわらず家事を全くしない
・夜の営みを拒否する
などと妻にも反省すべきところがある場合は慰謝料に反映されます。
まとめ
以上、慰謝料の相場について紹介しました。
婚姻期間や不貞行為の悪質性、家庭環境など多角的な視点から慰謝料が算出されます。
各家庭で状況も違いますから、あまり相場は参考にならないかもしれません。
しかし、それでも「慰謝料はせいぜい数百万円程度」という解釈で問題ありません。
慰謝料が妥当かどうかわからない場合は、弁護士に相談してみましょう。
また、弁護士の中でも複数の見解があるので何名かに聞くほうが良いです。
悪質性が高いのはこんなケース