住居侵入罪
探偵をする上で最も犯罪に適合してしまう可能性があるのが住居侵入罪です。
探偵するとき、プライベートな部分まで撮影し、浮気現場をつきとめたくなります。
しかし住居侵入罪には下記のような記載があります。
「人の看守する邸宅、又は建造物への侵入も住居侵入罪」(刑法130条)
つまり誰かの家や敷地内は住居侵入罪に該当するということです。
家の中はもちろんのこと、建物の外も対象となります。
ちなみに人の看守とは、管理人がいて鍵、もしくは囲いのある場所を指します。
例えば相手がマンションに住んでいる場合、マンション内にある駐車場や廊下、ゴミ捨て場などへ侵入して撮影するのもアウト。
マンションは管理人がいるので、人の看守に該当します。
こういったところに入って、自分の夫(または妻)と不倫相手が一緒にいたところを撮影しても、「これは住居侵入罪ではないのか!」と言われてしまえば、むしろ撮影した側が罪に問われる可能性が出てきます。
どの範囲までは入って撮影できるのか、優良な探偵事務所なら把握しています。
有線電気通信法、電気通信事業法
ちょっと難しい言葉ですが、簡単に言えば電話で話している時の会話の盗聴です。
例えば、自分の夫(または妻)が不倫相手と電話で話しているところを盗聴するのは違法です。
刑法上は下記のような盗聴についての記載があります。
「刑事訴訟法上の盗聴は公開を望まない人の会話を密かに聴取、または録音すること」
「他人間の通信について、その内容を知るため当該通信の当事者のいずれの同意も得ないでこれを受けること」(通信傍受法2条)
つまり勝手に盗み聞きするような形は法律的に違反ですよ、というような解釈で良いでしょう。
当然夫に、「電話を盗聴してもいいよね?」なんて聞く妻はいないと思うので、同意を得られるケースはまずないです。
浮気相手との会話は浮気を決定付ける要素になるのですが、法律の壁があり、結果的に探偵事務所はそこまで踏み込めないのが現状です。
盗聴してまで浮気現場を突き止めようとしているところは、法を意識しない悪質な探偵事務所といえます。
ただ、盗聴の中でも通信以外の盗聴は取り締まる規制がありません。
つまり勝手に会話が耳に入ってくる状況は盗聴の対象外です。
例えば、夫と浮気相手がレストランで食事をしているのを調査員が近くで確認するのは、盗聴に該当しないということです。
軽犯罪法、迷惑防止条例違反
探偵をしていて、法の規制がかかる部分として盗撮(軽犯罪法、または迷惑行為条例違反)が挙げられます。
盗撮に関しては、各自冶体の迷惑防止条例に下記のような記載があります。
「公共の場所や公共の乗り物において、人の通常衣服で隠されている下着、又は身体を写真機、その他の機器を用いて撮影すること」
つまり電車や駅などで女性のスカートの中を撮影するなどの行為ですね。
これは分かりやすい盗撮に該当する行為。
しかし、不倫現場となるカップルでの腕組み写真やラブホテル街を歩いている写真などは対象となりません。
下着を撮影したり、裸を撮影しているわけではありませんからね。
これは、探偵が行う調査で法律的に許されている方法です。
浮気の証拠となる写真は、だいたいこういったものが多いです。
プライバシーの侵害で違法じゃないの?
プライバシーの侵害は、刑法上で罰せられるようなものではありません。
「侵害ではあっても、犯罪ではない」という解釈です。
例えば、不倫現場を収める写真はプライバシーの侵害になったとしても、罪を問われるものではないのです。
ただ過去にこんな事例があります。
不倫を調査していて、マンションのエレベーター脇の配電盤に隠しカメラを設置し、その写真を裁判で使用したというケース。
このケースでは、写真を提出した側が訴えられました。
マンションのエレベーターは公共の場であり、複数人の住民が使います。
これは明らかな迷惑防止条例違反になるので、撮影する側もアウトとなったという事例です。
不特定多数の人を巻き込んだ撮影方法だと問題が出てきます。
ただ、ターゲットを絞り、撮影の仕方さえ気をつけておけばそこまで違反になるようなことはありません。
まとめ
探偵事務所が行ってしまいがちな違法行為について紹介しました。
悪質な探偵事務所かどうか見極めたいときは、上記の法律について詳しく理解のあるところに依頼しましょう。
または過去の撮影した写真などを見て、どういった撮影を行ったのか聞いてみるのもよいでしょう。