浮気と不倫の違い
浮気とは?
浮気は読んで字のごとく、浮ついた心の様すなわち配偶者や恋人がおりつつも他の異性と性的関係を結んでしまうことですが、その判別には感情的な面が重視されるため、性的な関係がなくても浮気といわれることがあります。
不倫とは?
不倫とは、配偶者がいる場合に配偶者以外の者と性的関係をもつことです。
浮気は不倫と似ておりますが、自身に配偶者がいる場合とは限らず、また性的な関係だけに限られているわけではありません。
つまり概念的な大きな括りとして浮気があり、その一形態が不倫といえそうです。
浮気の範囲と判定
では、どこからが浮気になるのでしょうか?
以下の例は、配偶者や恋人以外の異性と行う行為と考えてください。世間的に多い意見は、5の「ソフレ(添い寝フレンド)」か6の「キス」あたりかなと思います。
この浮気判断の感覚も自分が浮気をする立場と、自分がされる側では感じ方が違います。浮気をした・しないの議論をする前にまず配偶者や恋人とどこまでが浮気ではなく、そしてどこからが浮気なのかをきちんと線引きしておく必要があります。
それでは細かく上記の事例を見ていくことにしましょう。
また、不倫に関しては、最後に民法上の判断も記載したまとめがありますので、感情面からの浮気の判断と、民法上(法律上)の判断がどう違うか確認してみてください。
浮気判定1.手を繋ぐ(握手・恋人繋ぎ)
握手
【浮気判定】浮気ではない
こちらは、例えば挨拶や危ない場面で手を引いたりするときに見られる行為であり、そこに特別感や愛情の有無は介在しにくいと判断できます。
恋人繋ぎ(お互いの指を絡め合う手の繋ぎ方)
【浮気判定】恋人繋ぎをする当事者が男性であれば、浮気の可能性ありです。
なぜなら男性は特別な思惑がない限り、興味のない相手とは恋人繋ぎをすることはない生き物だからです。
ちなみに恋人繋ぎは独占欲の高い男性ほど好む傾向にあるとか・・。
浮気判定2.食事デート
【浮気判定】特定の相手と特別な意図をもって食事に行く、もしくは誘うケースは浮気の可能性あり
一方で、職場で残業し、お疲れ様の意味合いを込めて、ちょっと食事でもくらいの感じでしたらは当然ながら浮気ではありません。
浮気判定3.ボディタッチ
【浮気判定】触りたい意思があれば浮気の可能性あり
こちらは男性がする行為というよりも女性に多く見られる行為と言えます。
常に触れているわけでなく、話の盛り上がった拍子にそっと触れる程度であれば癖と言えるかもしれません。
ただ、そこに相手を触りたいという意思があった場合においては浮気の可能性があります。
浮気判定4.キス
【浮気判定】浮気です
キスは愛情表現の一つですので、配偶者や恋人以外の異性とキスをする行為は相手に対し愛情を表現していることになります。
例外的に外国育ちで外国の風習という場合や、体勢を崩したときに支えてもらった相手と偶然唇が触れたという場合は事故なのでノーカウントですが、気持ちが入っていたら完全に浮気と言えそうです。
浮気判定5.ソフレ(添い寝フレンド)
【浮気判定】浮気していると判断される可能性が高い
世の中に草食系男子という言葉が蔓延るようになり、それと共に発達した文化の一形態ともいえそうな添い寝フレンド(通称ソフレ)。
言葉を額面通りに捉えるならば、添い寝をするだけの友達となり、主観的には浮気ではないと言えます。
とはいえ、添い寝フレンドは、客観的にみれば同じところで添い寝するわけですから肉体関係があると捉えられる可能性は極めて高く、たとえ、実際に草食系の男性だから大丈夫ということがあったとしても、浮気か浮気でないかと問われれば、浮気していると判断される可能性は非常に高いと言えます。
浮気判定6.オーラルセックス(口腔性交)
【浮気判定】浮気です
セックスをしていないとはいえ、いわゆる「性交渉に類似する行為」とみなされますので完全にアウトです。
この性交渉に類似する行為がどこまでかという問題は捉え方によって異なります。
例えば、胸やお尻を触ったら性交渉に類似する行為と考える人もおりますが、そうではないと考える人もおります。
この性交渉に類似する行為に関しては、射精をしているか否かが判断のポイントとなります。
浮気判定7.セフレ(セックスフレンド)
【浮気判定】浮気です
言い訳不要の世界です。
浮気判定8.風俗
【浮気判定】場合による、一概に浮気とはいえない
男性がお金を出して、一度きりの風俗(性交渉を伴う伴わないを問わず風俗業全般)は気持ちが入っておらず、また仕事の付き合いで止む無くといったこともありますので浮気判定は場合によります。
また、女性が配偶者や交際相手に内緒で風俗のバイトをするケースも同様に、お金のためと割り切って及ぶケースなので一概に浮気とは言えなさそうです。
民法上の不倫・浮気定義
ここからは民法(法的判断)ではどのように取り扱われるかに重きを置いております。
また、ここに挙げられる事由はどれも判断が難しくグレーゾーンといえるものが多いですが、法的判断としては、程度の問題(精神的苦痛や回数、年齢差等)を勘案して白黒の判断をつけていくことになります。
民法上の不貞行為とは?
浮気や不倫は法律用語ではなく、日常用語の域を出ないのに対し、民法の不貞行為は法律用語となっています。
民法第770条(裁判上の離婚) 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる
引用元:民法
よって、民法上の不貞行為に該当する場合、民法第770条1項の定めにより離婚事由になるということですね。
婚姻中の夫婦においては、お互いに貞操義務が課されており、この貞操義務に反することが不貞行為と捉えられています。つまり、民法上では配偶者の貞操権に焦点があると言えます。もっと簡単に言うと、セックスをしてしまったら不貞行為となります。
裁判においては不貞行為の範囲には「男女間の性交渉とそれに類似する行為」も含まれております。この類似する行為には、オーラルセックス(口腔性交)も含まれる可能性が高く、行為に下半身が伴うか否かが境界線と言えそうです。
民法上の浮気定義1.セカンドパートナー
体の関係をもたないプラトニックな関係を続けるセカンドパートナーという存在は浮気や不倫にならないのでしょうか?
通常、気持ちへの影響度を考え、浮気や不倫とは言われますが、民法上の不貞行為とはみなされません。
裁判ではセカンドパートナーの存在は不貞行為とは見なされないものの、セカンドパートナーとの関係性を続けることで、夫婦関係の維持ができないと判断された場合は、「婚姻を継続しがたい重大事由」として婚姻関係の破綻認定されてしまうと離婚となってしまうケースもあります。
民法上の浮気定義2.同性愛
民法での不貞行為は「男女間の性交渉とそれに類似する行為」なので、男性同士、女性同士が肉体関係を持った場合は不貞行為には該当しません。
不貞行為は異性間の概念であるため、不貞行為に当たらないものの、上記のセカンドパートナーのように「婚姻を継続しがたい重大事由」として婚姻関係の破綻認定されてしまうと離婚となってしまうケースもあります。
民法上の浮気定義3.同棲中の浮気
民法上の不貞行為は、婚姻中の男女がお互いの貞操義務に反する行為を行うことです。
よって、交際している男女間では、たとえ同棲しているといっても不貞行為とは言われません。
とはいえ、感情的判断では浮気になります。
民法上の浮気定義4.事実婚中の浮気
恋人同士の単なる同棲ではなく、婚姻届を提出していないだけの実質的に事実婚と言える関係性の場合は、婚姻中の男女と同様の権利・義務がありますので、当然貞操義務もあるとみなされます。
よって、事実婚中の浮気は不貞行為とみなされます。
民法上の浮気定義5.婚姻関係破綻後(別居後)の浮気
長期間、別居等で婚姻関係が実質的に破綻している場合は、浮気や不倫が原因で破綻したことにはならないため、配偶者に対する貞操義務は既に失われているとみなされることがあります。
よって、婚姻関係破綻後に配偶者以外の異性をセックスをした場合は不貞行為になりません。
民法上の浮気定義6.ワンナイトラブ・酔った勢いでのセックス
飲み会やクラブで意気投合し、一夜だけの関係を結ぶことは現代ではよくあることかもしれません。
とはいえ、夫婦は貞操義務をお互いに負うものであり、一度だけとはいえセックスをしてしまえば貞操義務違反となり、不貞行為となります。
民法上の浮気定義7.強姦
これは浮気とか不倫とは次元の違う話ですが、民法上では強姦をした側は不貞行為に該当し、強姦された場合は不貞行為とはなりません。
自分の意思で性的行為を行っているか否かも不貞行為の判断に大きく影響します。
不倫・浮気の範囲と民法上の定義まとめ
不倫や浮気の範囲と民法上の定義を表にまとめると以下の通りです。
浮気・不倫の判定表
◯:浮気・不倫である / △:場合による / ✕:浮気・不倫ではない
浮気・不倫判定 | 民法上の判断 | |
---|---|---|
握手 | ✕ | ✕ |
恋人繋ぎ | △ | ✕ |
食事デート | △ | ✕ |
ボディタッチ | △ | ✕ |
ソフレ(添い寝フレンド) | △ | ✕ |
キス | ◯ | ✕ |
オーラルセックス(口腔性交) | ◯ | ◯ |
セフレ(セックスフレンド) | ◯ | ◯ |
風俗 | △ | ◯ |
セカンドパートナー | ✕ | ✕ |
同性愛 | ◯ | ✕ |
同棲中の浮気 | ◯ | ✕ |
事実婚中の不貞行為 | ◯ | ◯ |
婚姻関係破綻後の浮気 | ✕ | ✕ |
ワンナイトラブ・酔った勢いでのセックス | ✕ | ◯ |
強姦 | ✕ | ✕ |
いかがでしたか?
浮気は心理的な側面で判断されるため、その浮気をされた本人がどのように思うかが判断のポイントと言えます。
また、民法上の浮気(正確には不貞行為)には明確な判断基準があり、その判断基準は下半身が伴う行為(射精を伴う行為)と言えます。
上記の表では触れていませんが、男性が異性の手によって射精を促される行為も民法上での浮気行為には該当する可能性が高いと言えます。
浮気という言葉の概念は広く、その捉え方にもよっても千差万別です。
浮気や不倫、更には民法上の考え方を押さえておくことは非常に重要な観点と言えそうですね。
恋人繋ぎはお互いの愛情を確かめ合い、時にはその密着度・距離感から安心感を得ることもできると言われているので、男女問わず肉体関係がない場合であっても感情面からは限りなく黒に近いグレーという判断ができそうです。